カラスノエンドウ 花外蜜線の客
春の野草が勢い良く伸びて、野原の光景もそろそろ初夏へと移り変わろうとしています。カラスノエンドウの群落は、お互いにツルを絡ませながら上に伸びています。先に咲いた花は結実しながらも、まだ花を咲かせています。クロオオアリの活動が活発化しつつあり、カラスノエンドウの群落には、花外蜜線から出される蜜を求めて働きアリが忙しそうに歩き回っています。この行動は、クロオオアリの四季を語るうえで春の象徴的な風景ともいえます。ただ、これを求めてやってくるのはクロオオアリだけではありません。今日は昼休みに昼食をとって残りの30分間、カラスノエンドウの群落に張り付くようにカメラを構えている中で、実に様々な来客を見ることができました。
クロヤマアリもクロオオアリに負けじと、入り乱れながらしっかり蜜を得ていました。アリとしての環境適応力ではクロヤマアリのほうが勢力が上手ですが、クロオオアリとの混生地では、からだの大きなクロオオアリに遠慮気味に蜜を得ています。
よく見ると、アミメアリがいることに気付きました。動きが緩慢で、小さい体ながら堂々と蜜を得ていました。
突然、ナナホシテントウが茎を駆け上ってくると、花外蜜線でぴたりと止まり、甘い蜜を堪能していました。これは想定外の珍客だったと思います。
話の流れとして、花外蜜線ってなにということになりますが、解説はここでは割愛させていただきつつ、昆虫と植物の1億年相当の歴史が産んだ産物と思うとロマンを感じます。中心部をクローズアップすると水滴状に蜜が出ていることが確認できました。