人生を変えてくれた本「アニマ」

4月に入り、退職後の新生活が始まりました。毎朝起床して思うことは「出勤しなくていいんだ」という、とても変な感覚を覚えます。以前であれば「休日」というような意識ですが、のんびりしているわけにはいかず、まず第一の課題である物置の整理に取組中です。長年、様々な物を突っこんだままの物置を整理し、自宅での作業環境の創出から着手しています。連日の雨ですが、むしろ整理作業に没頭出来ています。現在の家に移り住んだのが26年前ですが、前の家から引っ越して、段ボールのまま入れっぱなしの箱がいくつかありました。ずいぶん重量があり、本だろうとは思いましたが、中身を見ると、80年代後半から90年代初頭に購読していた平凡社の「アニマ」でした。内容は動物界を広く網羅し、文化史から学術性が高い話題、そして、写真界においても登竜門的な「アニマ賞」がありました。そんな「アニマ」をぺらぺらと見始めると、懐かしさがこみあげてきました。

ダンボールを開けると80年代後半から90年代初頭の「アニマ」が・・・

この「アニマ」こそ、私の人生を変えた本なのです。書店でたまたま目にした「アニマ」の見返しに「日本動物植物専門学院」の広告があり「こんな学校があるんだ」と知ったことが、仕事を辞めて上京するきっかけになりました。そして入学し、遅い学生ライフが始まります。

「日本動物植物専門学院」の広告

上京2年目の就職活動中、またしても「アニマ」が大きな転機を作ります。1989年の9月号の特集が「インセクタリウム」だったのです。

「アニマ」1989.9 インセクタリウム特集での矢島先生の寄稿文
「アニマ」1989.9 インセクタリウム特集 豊島園昆虫館の記事

当時、動物関連の仕事に就ければと、漠然とした目標の中で、この記事をきっかけに「昆虫館に就職したい!」という具体的な目標ができました。そして「豊島園昆虫館」に就職できたことが、今の私の人生につながっていったわけです。

「アニマ」は1993年に休刊となり、日本動物植物専門学院は2001年に廃校しました。豊島園昆虫館もすでにありません。時代の流れって懐かしさもあり、寂しさもあり、ただ、今の自分を導いてくれた様々な境遇に感謝するのみです。

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