ぐんま昆虫の森 ルリボシカミキリ

7月になりました。本格的な夏の到来を感じますが、昆虫を生業とする身であればまさにトップシーズンです。7月をどのように過ごし成果を上げるか、プレッシャーがかかる月でもありますが、暑すぎる日々との戦いがまず降りかかります。

ぐんま昆虫の森をお昼から歩き始めますが、すぐにどっと汗が吹き出し、日陰で一休みの連続です。この先、このルーティーンを持続できるか自信がありません。

今日の散策は小さな目的があって、ルリボシカミキリをしっかり撮影しようと思っておりました。今年の初見は6月21日で、発見後にすぐに飛び立ってしまい、撮影ができませんでした。昆虫愛好家一般層には絶大な人気がある甲虫ですが、あの水色を雑木林で見つけたときの感動は、何か特別なものに出合えたと感じる気持ちがよくわかります。多様な昆虫界で、水色を発色する種は少数派です。

私の思い出話ですが、20代の専門学校に通っていた時、高尾山に登る楽しさに目覚めてしまい、毎週のように友人と様々なルートで山頂を目指し、茶屋でそばと生ビールをくらってはふらふらしながら下山するという、ちょっと不謹慎な青春時代がありました。山頂で立ち寄った茶屋にデッキとなった屋外席があり、見上げた先のカエデの立ち枯れに、たくさんのルリボシカミキリが張り付いていた光景は今でも忘れられません。

いわゆる「朽ち木」ではなく、枯死して間もない、もしくは伐採されて間もないという材を好むのがこの種の特徴です。山間部の貯木場に広葉樹があれば、ほぼ確実に見つかる普通種でありながら、世間一般の昆虫好きファミリーがこの虫に出合うのは、やや難易度が高いかもしれません。

ぐんま昆虫の森では、開園当初は定期的に伐採が行われて林縁に貯木する場所があり、ルリボシカミキリは高確率で見つかる時代がありました。現在は、危険木でなければ生木を伐採することもありませんから、そのようなポイントはわずかです。ただ、林縁には少ないながらそのようなポイントはあります。

ルリボシカミキリ OLIMPUS OM-1 7-14mm ISO1600 F11 SS1/30

昨年の冬の間に伐採されたサクラの材が林縁に貯木されていますが、そこが今年のルリボシカミキリポイントです。

数か所ありましたが、いずれも2-3匹が見られました。メスの飛来を待つ♂が多く、じっとしているかと思えば、突然せわしなく歩き出し、オス同士が接触すると一瞬絡んで争います。

ルリボシカミキリ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO2000 SS1/60  F8

ルリボシカミキリのイメージとして、発色の良い水色ですが、実際に肉眼で見るルリボシカミキリは、それほどまばゆい水色ではありません。

不思議なもので、カメラの設定の発色はノーマルですが、それでも画像化するとそれなりによい発色となります。彩度の調整はまったくしないでこの色です。

昭和の話ですが、フジカラーのCMで、「美しい人はより美しく、そうでない方はそれなりに」というフレーズが話題になりましたが、デジタルな時代も、ビビッドなカラーを協調するという画像処理エンジンはカメラ機能の基本のようで、ルリボシカミキリの色はより誇張されるようです。

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