ハチ擬態アブ 2種

最近の散策で、ハチ擬態のアブ2種と遭遇したので、まとめて紹介します。

6月6日ぐんま昆虫の森にて、クヌギの低木付近を散策中に、一瞬マルハナバチと思われるものが、クヌギの幹の腐朽した部分の隙間に入り込んでいきました。こんなところに巣作りするはずもなく・・・しばらくして、出てきたのはいわゆるハチ擬態ハナアブの一種と分かりましたが、体格もマルハナバチ級の大型種で、葉の上に止まった姿を撮影しつつ、のちに種名を調べてみました。「ニッポンミケハラブトハナアブ」で間違いないかと思いますが、擬態のモデルとして、オオマルハナバチに特化した姿は、ハチ擬態アブの中でも、興味深い存在です。生態などをネット上で調べた範囲では情報はなく、近似種のトゲミケハラブトハナアブが大木の樹洞の水たまりで育つという記述が見つかりました。発見した個体が入り込んだクヌギの腐朽部分は、水が溜まるほどのものではありませんでしたが、明らかに産卵場所を探して入り込んだと考えられるので、のちに内部を確認してみようと思います。

ニッポンミケハラブトハナアブ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/60 F11 ストロボ  

6月7日、近隣のよく行くフィールドで、樹液を良く出すヤナギがあり、以前にオオスズメバチの新女王を撮影した場所に行ってみました。樹液の滲出は以前ほどの勢いはなく、オオスズメバチの女王の姿もない中で、働きバチが訪れていましたが、もう一種、そこにいたのがチャイロスズメバチでした。かなり大柄で女王バチのようですが、乗っ取りはこれからということなのでしょうか。近年、チャイロスズメバチの目撃が多く感じます。

 上:チャイロスズメバチ 下:オオスズメバチ OLIMPUS OM-1 7-14mm ISO1000 F13 SS1/60  

せっかくなので、アップで撮ろうとレンズ交換中にチャイロスズメバチは飛び立ってしまいました。それと入れ替わるように飛来したのがハチモドキハナアブでした。樹液を訪れるアブとしては、かなりメジャーな種類ですが、どうせだったらスズメバチに擬態すればと、人間的な感覚では思うところですが、なぜかドロバチ系に似ているという姿です。

ハチモドキハナアブ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 F13 SS1/125 ストロボ

ハチとアブ、かなりかけ離れた分類群でありながら、成虫の活動圏は放花性など類似する中で、擬態モデルの多様性は興味深い世界です。色彩にとどまらず、ニッポンミケハラブトハナアブはずんぐりとして毛深く、ハチモドキハナアブのくびれた腰付きといい、同じハナアブ科でここまで外観が違う点も不思議ポイントです。

このハチモドキハナアブの面白い特徴として、触角がY字型に見えるということです。昆虫のからだのつくりは、触角は一対という原則ですから、一本が枝分かれするはずはなく、正面から拡大して撮影してみました。触角の基部が突出して、そこから2本の触角が附属しているのでそう見えることがわかりました。

ハチモドキハナアブ頭部 OLIMPUS OM-D-EM1 60mmMACRO ISO200 SS1/60 F8 ストロボ 深度合成