オニグルミとイモムシ・ケムシ
気温が上がった日曜日、お昼からぐんま昆虫の森を散策しました。
行き当たりばったりの漠然とした散策でスタートしましたが、張り出したオニグルミの枝の下を通過しながら、「よし、どれだけイモムシ・ケムシが探させるかやってみよう!」と、ちょっとした目標が生まれて、葉裏を見始めます。クヌギやコナラ、サクラなど、無数にある樹木に比べてオニグルミは点々とあり、しかも、ホストとする種類が多いので、イモムシ・ケムシが探しやすい樹木の一つだと思います。

目を凝らさなくてもすぐに見つかったのがドクガです。今年はドクガの遭遇率が高く多い年かなと思います。かなり広い範囲の樹種に付きますが、オニグルミには割と多いかなと。長い幼虫期を経て、そろそろ老熟する頃です。

次に見つかったのがオオミズアオの2齢幼虫です。これもまた、多くの樹種で見られますが、オニグルミは好みます。

遠目に見える姿はアリにそっくりですが、近づいてみればバイバラシロシャチホコ(おそらく)の2齢幼虫でした。ちょっといいものが見つかり始めた感じがします。これも広食性ですが、オニグルミは特に好みます。近似種のシロシャチホコはやや山地性で、幼虫の色彩が明るい点で区別できるとされてきましたが、蛾の師匠 横田光邦さんの見解では、色彩だけの判別は難しく、特に若齢期は難しいということです。ちなみにぐんま昆虫の森では2種が混在しますから、断定はできません。

やっとオニグルミならではムラサキシャチホコの幼虫が見つかりました。クルミ類のみを食べる単食性です。カールした枯葉を思わせるトリックアート的な成虫の色彩が話題を呼び、近年になって知名度が急上昇した蛾です。幼虫の姿も個性的で、大きな頭とツートーンカラーでシャチホコポーズを決めます。この色彩は一見目立ちますが、部分枯れした葉に付くと見事なカムフラージュ効果を発揮します。

蝋状物質をまとって目立つのはクルミマルハバチの幼虫です。アゲハモドキの幼虫にそっくりで、クルミにいるか、ミズキ(アゲハモドキ食草)にいるかで、容易に判断ができますが、ぱっと見た感じは本当によく似ています。ハバチ幼虫は味がまずいようで、蛾類幼虫にはハバチ擬態と言われるものも存在します。両者の関係性は擬態という定義に当てはまるのか、それとも、蝋状物質をまとうことの生き残り戦略的収斂進化なのでしょうか。