ムラサキツバメの越冬を探して

本来は関東以西が分布域だったムラサキツバメは、群馬県では二十数年前から記録があり、北関東まで進出しています。単に温暖化という要素だけでなく、自然植生にはない、ホストとなるマテバシイが、公園植栽として利用されている点も影響しています。そんなムラサキツバメの集団越冬の話は話題として知りつつも、まだ見たことがありませんでした。マテバシイが多い前橋総合運動公園に昨年の8月に訪れた時のこと、林床にたくさんのムラサキツバメを目撃し、こんなにたくさんいたら、集団越冬も見つけられるかなと。冬となり、そんな期待をもって出かけました。当然、下調べでネット情報を見つつ、東から南にかけて多いとか、マテバシイ、シュロなどなど、それなりに葉が大きい常緑樹の葉上にいるという学習をしつつ散策を試みましたが見つかりません!9時からはじめて11時までの3時間で収穫ゼロという「ふしあな」ぶりに意気消沈です。ポジティブ思考な私は、よい運動になったと思いつつも、何かプライドが許さない複雑な心境の中、最後に公園の東境界から張り出したマテバシイを見ておこうと向かいました。それほど低い枝ぶりではなく、2.5mほどの枝先を見ている時でした。「あれ!これもしかして!」すぐに確信には至りませんでしたが、葉にベタッと張り付いた茶色いものが、チョウの翅の形に一瞬見えて、再度、目を凝らして見ると・・・・目的のそれでした!小集団ではありますが、4匹が固まって葉の上に越冬しているという、まさに目的を果たすことができました。その場所は南側でしたが。やや奥まった位置の葉で、木漏れ日がやや射しつつ、雨が当たりづらい場所でした。

マテバシイ葉上で越冬するムラサキツバメの小集団
マテバシイ葉上で越冬するムラサキツバメの小集団

ちょっと高い場所でしたので、踏み台を用意しつつ撮影をしていると、その近くの枝先にも何やらチョウらしき姿が、小ぶりに見えたその姿はムラサキシジミでした。混生で越冬している情報も多い中、近い場所でありながら、ムラサキシジミだけ4匹が越冬小集団を形成していました。

マテバシイ葉上で越冬するムラサキシジミの小集団

さらに、ウラギンシジミも見つかり、起死回生の散策成果となりました。何か、チョウたちにとって、越冬の好条件がそこにはあったのかもしれません。

マテバシイ葉裏で越冬するウラギンシジミ

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