オオミズアオの羽化

昨年秋に同僚が大切に飼育していたオオミズアオの幼虫がいました。退職のタイミングで、10個ほど越冬蛹を譲り受け、家の北側に保管していたのですが、2週間ほど前から羽化のピークを迎えています。野外では5月上旬には発生しますから、春の羽化期は、条件でかなりばらつきます。

さて、最初の羽化が始まってからは、ぽつりぽつりと羽化が続きました。優先順位的には、それほど高くない撮影でしたが、もろもろの仕事が片付き始めて、撮ってみようという気持ちに傾きました。繭を切って蛹の状態を確認しつつ、体節の伸び具合と、皮膚の軟化が羽化の兆候となります。それでも、ある程度は待機して見張らないといけない撮影で、こういった羽化待ちとか脱皮待ちは、昆虫写真家業としては定めとなります。ただ、前兆を見抜く観察力であればある程度効率的に撮ることが出来ます。

羽化不全だったオオミズアオ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/125 F9

5月27日に撮影した個体は、なんと、翅が伸びずに羽化不全となりました。蛹の保存状況が悪かったことが原因かもしれません。それでも、残りの蛹に望みをかけて羽化待ちしていましたが、昨日の夕方の時点で前兆を示す蛹があり、夜中に出かねないと思い、こういったときは一旦、冷蔵庫に保管します。今日は午前中に用事があったため、午後になって冷蔵庫から取り出し、傍らに置きながら羽化を待ちました。

オオミズアオ羽化連続① NIKON D500 105mmMAICRO ISO400 SS1/125 F13

 14:20分、デスク脇に置いた容器から「カサカサ」と乾いた音がして、振り向くと蛹に亀裂が入り、羽化が始まりました。庭に連れていき、カエデの幹を上らせると50㎝ほどの高さで定位し、翅を伸ばす態勢に入りました。

オオミズアオ羽化連続② NIKON D500 105mmMAICRO ISO400 SS1/125 F13

チョウ類全般では、真横からの撮影が一般的ですが、オオミズアオのように翅が開いた姿が止形で、しかも、翅の伸びる過程はかなり立体感があるので、背面からの定点としました。

オオミズアオ羽化連続③ NIKON D500 105mmMAICRO ISO400 SS1/125 F13

羽化したのはメスで、欲を言えば、オスのほうが翅のフォルムが美しく、羽化の撮影向きではありますが、とりあえず、目標を達成できたような、ちょっとホッとした気持ちです。

明日から、蛾類愛好家の仲間たちと、清里方面でミーティングです。天気が今一つですが、久しぶりの再会に話が盛り上がりそうで楽しんできます。