ウスバカマキリを探して
カマキリ類の生態写真としてストックが薄いのがウスバカマキリで、今年の秋の課題と考えていました。22-3年前、群馬県内では藤岡市で多産する場所がありましたが、2013年に訪れた時はオス1のみしか確認できず、現在の状況はよくわかりません。都内の多摩川でも局所的に生息している情報があり、蛾の師匠の横田さんに相談したところ、よくいる場所があるとのことでご案内していただきました。
いわゆる河川の氾濫原で、石がゴロゴロ転がった裸地から草地に遷移する微妙な環境が生息地です。足を踏み入れると、次々とトノサマバッタが飛び出し、部分的にあるチガヤ群落にはショウリョウバッタモドキが多数いました。
ガサガサと足で草をかき分けながら、飛び出すウスバカマキリに期待します。20分ほど経過して1匹目のオスが捕れました。

久しぶりに見る緑色型のオスはとても美しく見えました。
目標としては、雌雄それぞれ緑色型と褐色型が捕れたらいいなと思うところですが・・・
その後、追加の個体が得られず、場所を少し移動すると褐色型のオスが捕れました。

まあ順調な展開ではありましたが・・・・
その後も、オスは捕れるのですが、メスが得られません。やっぱりカマキリの主役はメスのほうです。オス7匹に対してメス0ですから、この偏りは探している場所と時期という点で的がずれている?そんな気がしてきました。

そんな時、横田さんが、産卵が始まっているかどうか、石や木片を裏返していた時でした。木片の裏側にツノトンボ類の幼虫が張り付いていたのを見つけました。環境的にキバネツノトンボかツノトンボのいずれかと思いますが、キバネツノトンボは見られず、ツノトンボは確認されていることから、ツノトンボの幼虫と思われます。体表が妙に白っぽいと思いながら拡大で見てみると、パルプのような一律の付着物が覆っていました。

横田さんが、メドハギにカメラを向けていたのはキハダカノコの交尾でした。発生期は終わりに近いとのことですから、ラッキーな副産物でした。このキハダカノコも局所発生で、普通種のカノコガとは対照的な存在です。ウスバカマキリと生息環境の共通点があるようです。

さて、探し始めて2時間が経過し、だいぶ疲労感が増してきましたが、メスを捕らずして帰る気にはなれません。やや深い草地をガサガサとやり始めた時です。目の前に明らかに大きい個体が現れます「メスイター!」と叫びました。
結果オーライ。良い成果が最後に得られました。

おなかも空いたと、草原を後にして歩き始めた時、足元の株からひょっこりウスバカマキリが飛び出します。小ぶりでしたが「なんかメスっぽい?」と手に取るとメスでした。「この場所さんざん見たよね!」と談笑しました。
検証的に、産卵はこの時期始まっておらず、餌資源が多いやや深い草地がメスの居場所なのか?産卵時期になれば、産卵場所となる石が転がった開放的草原に移動するのでしょうか?
メスの褐色型は得られませんでしたが、十分すぎる成果です。横田さんありがとうございました。