水元公園 散策
小学館の図鑑NEO「イモムシとケムシ」製作チームが久しぶりに集合し、ちょっと早い忘年会を兼ねながら、昼間は水元公園を散策しました。
11月に入り、シーズンも終わりに近づく中、想像を超えた蛾類幼虫の多さに驚きました。

水元公園といえば、ポプラ並木が有名で、ポプラ依存の高いオオモクメシャチホコの多産地ですが、ヤナギ食の蛾類もポプラを好みますから、多様な幼虫が次から次に見つかります。




一般的に関東の平地であれば、2化性の蛾類ばかりですが、11月の時点で中齢期も多く、横田光邦さんによれば、温暖化で3化しているとのことです。
葉のコンディションも、まだ持ちこたえそうで、年内にしっかり蛹まで育ちそうな勢いです。
もっとも多かったのがオオキノメイガで、綴られた葉を開くと幼虫や蛹が見つかります。

幹には新成虫もいました。成虫期は6-11月のようで、越冬態はどのステージか気になります。卵かな?

道脇の草地では、羽化して間もないアゲハが見つかります。
さすがに、もう一世代は難しいと思いますが、ミカンは常緑だし、意外といけたりして・・・

ヤブガラシではコスズメの終齢幼虫なりたてがいました。

芝生広場に差し掛かり、ケヤキの樹皮をめくります。

シリアゲアリの一種のコロニーが見つかりました。

肉眼では、一瞬、小さなワラジムシ集団に見えましたが、拡大するとふさふさとした毛があります。頭の片隅に眠っていた、情報が浮かび上がりました。
フサヤスデです。こんな場所で予期せず初対面です。鈴木知之さんによると、まだ幼体とのことです。

赤みが強いアリグモの雄がいました。群馬県では見かけない種類です。調べてみるとヤガタアリグモのようですが、ネット上の画像では、腹部形状が異なる個体も混在していて、確信は持てません。
類似する近縁種もいないようですが・・・
関東以西の温暖地のクモのようです。

サクラの木に差し掛かり、枝先には派手の食跡があり、モンクロシャチホコが発生した痕跡だと想像がつきます。
モンクロシャチホコは平地も山地も年1化性で、平地であれば夏に成虫が発生し、9月が幼虫の発生期となります。
この晩秋に幼虫はいないはずと思いながら、幹にそれらしき幼虫が見つかります。
枝先もよく見ていくと、15mmほどの中齢期幼虫がたくさん付いているではありませんか。
横田光邦さん曰く、この現象は2化目の発生があったとのことです。
台湾での同種は2化しているとのことで、国内では九州までの分布ですが、温暖地での2化事象例の報告が、今後気になります。

群馬県桐生市から南に100kmの都市部公園で、この季節、こんなに虫が多いという、ちょっと衝撃を受けました。
この季節、ぐんま昆虫の森を1日歩いても、これほどの虫たちに出会うことはできません。
それは、単に自然が豊かかどうかという指標ではなく、気候とか植生とか、その環境条件に適応できた一部の昆虫が多いにすぎませんが、あらためて、都市部緑地は魅力的であるとは感じました。
また、昆虫の発生サイクルが、確実に温暖化の影響を受けて変化しつつある現状も、目の当たりにすることとなりました。

