裏高尾へ 散策登山
急遽、「裏高尾へ行きましょう」と、蛾の師匠 横田さんから連絡があり、私も久しぶりの高尾山ということで楽しみに向かいました。目的と言えば、ライトトラップでゴマダラシャチホコを狙いたいというところですが、よい季節なので昼間は登山道を歩きながら散策を行いました。

日影沢林道を歩き始めて早々に、オオトラフコガネが葉上でお出迎えです。

まさにこの季節、高尾山ならではの甲虫です。植生豊かな湿潤な森林の産物です。数個体が林縁で見られました。

ウリノキの幼木に葉を折り返した巣がありました。ウリノキといえば・・・

葉を開くと予想通り、オオカギバの幼虫が現れました。

亜終齢で脱皮前の眠状態でした。終齢は40mmほどに達し、独特な色彩と合わせてなかなかインパクトのあるカギバガ科幼虫です。このオオカギバも高尾山は多産します。オオカギバと同じく、ウリノキをホストとするギンスジカギバは、成虫が見つかりました。

渋い色合いのハマキガがいました。のちに「くらべてわかる蛾」で調べるとクシヒゲムラサキハマキでした。

足元から飛び立った蛾が、茂みに飛び込みました。のぞき込むと幾何学的模様のビロードナミシャクがいました。下向きが静止ポーズのようです。

林縁の葉上ではクロアシヒゲナガハナノミが目立っていましたが、それを捕食するクロスジイシアブがいました。

日影沢の林縁部は低木や草本類が多く、昆虫観察には最適です。沢沿いの林道が延々と続きますが、ほどよい折り返し点が見つからず、スローペースな散策登山が続き時間が過ぎてゆきます。

木陰でいったん休憩中に、見上げたヤマグワの葉上には脱皮直後のクワコがいました。ずいぶん白っぽい個体で、カイコにそっくりです。

伐採して間もない斜面が現れ、急に明るい環境に変わります。その境界をひらりと舞っていたのがモンキアゲハです。給水に訪れたようで、擦れた個体ではありましたが、ここは給水シーンを狙って中望遠マクロで写し止めました。一旦、そこを後にしますが、振り返るとその後もとどまっています。谷間の背景で広角でも狙えそうな気がして、レンズ交換後に再び近づきます。

ジワリジワリを間合いを詰めて、ほぼ最短撮影距離まで近づき写し止めることが出来ました。
さて、この時点で16時30分です。頂上には茶屋があると聞いていますが、この先どれくらいかもわからないまま進み続け車止めのゲートに差し掛かります。ここで折り返すという案も相談しましたが、グーグルマップで位置を確認したら頂上まではもう少しということで進み続けます。
ウツギの葉上で見慣れないケムシを見つけました。体長は1㎝ほどです。横田さんに確認すると「ナミコブガ」と即答。広食性ですが、ウツギはユキノシタ科で、データ上のホストにはないようです。

ようやく、頂上の鉄塔が見えてきます。飲料水も底をついて、自販機くらいあるだろうと期待して茶屋に到着しますが・・・何もありませんでした。せっかくなので眺望を見つつ、少し散策します。

生け垣に用いられたキンシバイに、なにやら奇妙な体型のイモムシが目に入りました。枝ごと切って横田さんに鑑定依頼しますがわからず。体長は12mmほどの寸詰まり体型で胸部が発達しています。マエキオエダシャク幼虫にやや似た感じもします。ぱっと見、食痕はないように見えたので落下した可能性も考えましたが、再び発見場所をよく見ると若齢幼虫と食痕も見つかりました。さて、この幼虫は・・・

今日になって、「キンシバイ」「オトギリソウ科」「シャクガ科」で調べていくと正体が判明しました。クロフキヒメエダシャクは、成虫は普通種ですが、幼虫形態の情報は少ないようです。この山頂にたどり着いたからこそ出会えたイモムシでした。
この時点で18:00です。ここまで4時間かけての散策登山でした。19:30分にはライトを設置したいので、帰りはもくもくと下山です。