孤独のライトトラップ

退職してからの時間の使い方に、何を優先するべきかという、妙なプレッシャーが襲います。

それなりに、いただいている仕事の期限や進捗を管理しつつ、併せて、この季節に何ができるか、今日の天気でやれること、そんな一日の使い方の自己管理は勤め人時代も同じです。何が違うかと言えば、「夢を見たい!」と言っても小さな夢ですが、昆虫たちとの出会いに時間を使いたいと感じます。

先日の高尾山で成しえなかったゴマダラシャチホコが悶々としていました。特に切羽詰まったことではないのですが、メスを採集して採卵し、幼虫を育てるという夢です。ゴマダラシャチホコは、関東では奥多摩が産地として知られていて、グーグルマップでライトトラップができそうな場所を調べつつ、思い立って出掛けました。

奥多摩 TG-7

現地に着いたのが16時ごろで、雨がぱらつく天気で散策する気にもなれず、ひたすら暗闇に包まれる時間待ちです。登山者が数名ほど通り過ぎましたが、いよいよ暗くなってくると、携帯電波が届かない場所で不安感も膨らみます。

奥多摩ライトトラップ点灯開始 OLIMPUS OM-1 7-14mm ISO2000 F8 SS1/25

一人で行うライトトラップは、まさに期待と不安に包まれます。発電機を始動させエンジン音が響くと、騒音でありながらも不思議と不安な気持ちがまぎれます。

フトオビホソバスズメ  OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/60 F13 ストロボ

20時ころにフトオビホソバスズメが飛来します。山地の初夏のスズメガです。

クロフキエダシャク  OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/60 F13 ストロボ

見たことがない蛾が飛来しました。調べてみるとクロフキエダシャクでした。黒のまだら模様が、外側に向かうほどさざ波化している模様がアートです。

ベニモントラガ  OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/60 F13 ストロボ

ベニモントラガは数匹が飛来しました。後翅をうまく見せてくれたところで撮影します。

シロシャチホコ  OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO1000 SS1/60 F13 ストロボ

シャチホコガ科ではシロシャチホコが多く飛来しました。ゴマダラシャチホコとは同属ですからよく似ています。もしかして・・・と、何度も見直しますが、どうみてもシロシャチホコでした。5匹ほど飛来したすべてがオスでしたから、飛来率の低いメスのゴマダラシャチホコは夢のまた夢なのでしょうか。

奥多摩ライトトラップ撤収前22時 TG-7

蛾の飛来が始まると、不安感はどこへやらという感じで、瞬く間に時間が過ぎてゆきます。帰宅時間を考えると22時までが限界で撤収に入ります。たいした収穫はありませんでした。

発電機の電源を切ると静寂が訪れて、再び山中にいる孤独感が襲います。川の流れの音と、トラツグミの声が響く中、蛾にまみれながらの撤収作業です。

BLOG

前の記事

クワコの護身術New!!