アリジゴク

いわゆるアリジゴクはウスバカゲロウの幼虫です。そんなことは昆虫好きなら誰しもわかっていることですが、この「アリジゴク」は通称でありながら、幼虫主体で広く知られているという点です。それは、とてもインパクトのある外観であり、すり鉢状のワナは他に類を見ないもので、狩りの仕方など子供たちが興味を抱くのもうなづけます。私が小学校3年生の時、静岡県の三島市から御殿場市へと引っ越してすぐのことです。学校帰り、近所にあった蔵の下に無数にあるアリジゴクの巣を初めて見つけました。図鑑でしか知らなかったその存在を目の当たりにして、すぐに蔵の下に潜り込んで這いつくばりながら、夢中でアリジゴクの採集をはじめました。巣穴に指を突っ込んでは、それらしきものを指先の感触をたよりに探しだし、ちょっと柔らかいと感じたものをつまみだすと、まぎれもなく図鑑で見たアリジゴクの姿でした。満足感を得ながら蔵の外にはい出すと、ちょうど蔵の持ち主のおばさんが立っていました。「何してるの?」「見かけない子だね」「それにしてもすごい格好だね」と小学生ながらずいぶんと不審者扱いされながら、「アリジゴクを採っていました」と小さな声で返答したと思います。床下を這いつくばったからだには、枯葉やら稲わらクズがまとわりついていたようで、それは変わった子供だと思われたことでしょう。後に、そのおばさんは同級生のおかあさんであることがわかり、近所では、変わった子が引っ越してきたと噂にもなったようです。前置きが長くなりましたが、そんな思い出のあるアリジゴクがワナに落ちた獲物に砂を飛ばすシーンを、プロキャプチャーモードで撮影したらどうかと前から思っていたところで、もろもろセッティングができたところで試してみました。

OM-D-M1X ISO1000 F10 1/1600 プロキャプチャーモード