憧れのフサオシャチホコ

私にとってイモムシ・ケムシとは何だろうと、時折、自分に問いかけるときがあります。どうして、ここまで心揺さぶられるのか、自問自答しつつ答えはよくわかりません。「本能的に好き」に言えばそれまでですが、「幼虫形態における多様性」は、確かにもっともらしく、魅力的だと感じます。漠然としたイモムシ・ケムシ愛好者だった私が、蛾の師匠である横田光邦さんとの出会いから、生態の奥深さにはますます魅力が深まり、今ではすっかりライフワークとしてこの分野は人生の楽しみとなりました。そして、類が友を呼び、蛾類に魅力を感じる方々とのネットワークは重要で、お互いの地域性や行動圏でのフォローは、個人レベルでは達成できない有益な情報交換や、時に、とんでもない「おみやげ」にあやかることがあります。「フサオシャチホコ採れたので送ります!」という、突然のうれしい一報が入りました。対馬に行かなければ採れない種であり、その形態は、究極の私好みという憧れのイモムシだったわけです。カラーリング的にはフクラスズメを彷彿とさせる黄色と黒が入り混じった派手な体色です。感動的だったのは全身を刺が覆うということです。いわゆるケムシの毛とイラガのような刺は定義付けが難しい境界もあろうかと思いますが、フサオシャチホコの場合は明らかに硬い刺が全身を覆っています。そんなフサオシャチホコ幼虫を眺めながら、癒され、また、活力を得ています。

フサオシャチホコ終齢幼虫

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