シャチホコガ幼虫の脱皮
シャチホコガ科全体として幼虫形態が魅力的ですが、中でもStauropus属は、鱗翅目の中でとびぬけた異形であり、その代表種であるシャチホコガ(Stauropus fagi)は、何故にこの形態に行き着いたかは、進化の不思議を感じずにはいられません。 普通種ではありますが、簡単に巡り合えるほど多産はせず、出会えた時はうれしいものです。そんなシャチホコガが、昆虫の森の常設ライトトラップで珍しくメスが捕れました。幼虫が展示に使えると思い、採卵して飼育中でしたが、ようやく大きく成長してきたところで、たまたま脱皮シーンに遭遇します。一般的にイモムシの脱皮は比較的静かな感じですが、そのダイナミックな動きに驚きました。
異様に長い中脚と後脚を引き抜くためでしょうか、反り返りがすごく、その様子はトンボの羽化を彷彿させるくらいダイナミックな動きです。
腹脚が前から2対抜けるとその脚で枝につかまり、ゆっくりと前進するように残りの皮を脱いでいきます。
脱皮が完了し、一回り大きくなった6齢幼虫。その後ろには小さな分身のような脱皮殻が残ります。
1時間半ほどじっとしていますが、くるりと向きを180度変えて、脱皮殻をムシャムシャと食べ始めます。枝に張り付くように残された腹脚の殻も残さず完食し、一連の脱皮シーンが完結しました。