シンジュキノカワガ 卵 

今年の夏、園内のライトトラップに、かつてないほどのシンジュキノカワガが飛来しました。大雑把ですが15年ほど前が初記録だったと記憶しています。当時は、10月過ぎにポツリと入る蛾で珍重扱いしてきました。ホストのシンジュは園内のいたるところにありますから、どこかに幼虫がいるはずだと気にかけていたところで、イモムシ大好きな職員MOMOKAが「シンジュキノカワガの幼虫いました!」と、さりげなく話しかけてきました。「園内の幼虫の記録ははじめてだよ!」と、さっそくイモムシ同好会(非公式団体です)メンバーで現地に向かいました。2メートルに満たないシンジュの幼木が群生する一角にたどり着くと数匹の終齢幼虫を確認しました。

シンジュキノカワガ終齢幼虫 ぐんま昆虫の森園内にて

一帯のシンジュを探索すると若齢も見つかり「卵ないかなー」なんてつぶやいてみたところで、目の肥えた重鎮メンバーが「これ卵?」とさっそくそれらしきものを見つけ出しました。その場でネット上の画像と照合し「間違いない!」と確信するに至りました。シンジュキノカワガ幼虫に恋焦がれていた3年ほど前に、イモムシ同好会関西支部のHIROKOさんから幼虫を送っていただき、終齢幼虫と興味深い繭づくりなど撮影済みでしたが、ステージ全般を撮影する格好の機会に恵まれました。肉眼での卵は白っぽい1mmほどの扁平な形状で、卵としてさほど変わったものではないと思い、せいぜいフルサイズの2倍で撮れば十分と思っていました。撮影しているとメンバーが「卵の表面に模様みたいのがある」と言い出し、「え!そうなの」とモニター拡大表示してみると、いわゆるゼフィルス卵的な彫刻を施したような形状であることに気付きました。そして、その拡大表示でもっと驚いたのが「顔がある!」ということでした。孵化が間近なようで、眼点と大顎がなんとも可愛らしく浮かびあがっていたのです。状況を示すだけであれば高解像で十分に切り取れる範囲と感じましたが「これおもしろい!」と急に写欲スイッチが入ってしまい、高倍率のレンズを引っ張り出しての撮影となりました。LAOWA25mmNIKONマウント(フルサイズ)で撮影しつつ、30年間使用ているZUIKO38mmマクロをOM-1に装着して比べてみましたが、古いレンズでありながらのまったく遜色ない描写生と、深度の深さ拡大率でのOLINPUSの有利さを改めて感じました。

シンジュキノカワガ卵 OM-1 ZUIKO38mmマクロ(エクステンションチューブ)