第21回企画展 「たのしい昆虫飼育ーPart2ー」雑木林の虫編

気が付けば8月も終わりです。昆虫施設業は季節商売と客商売で、毎年慌ただしく夏が過ぎていきます。7月13日(土)から開催となった企画展ですが、今更ながらのご報告です。3年ほど前から定年を意識して、何か自分の仕事の集大成となる企画展ができないかと考え企画したのが「たのしい昆虫飼育」です。昨年は「Part1身近な虫編」としつつ、当初予定では、最終年となる今年、雑木林と水辺をセットにして最後の企画展とする予定でしたが、構成を詰める段階で、水辺を含めると中途半端な仕上がりになることを懸念して「雑木林」にとどめました。あと1年あれば「水辺の虫編」という流れであったかもしれませんが、ここは時間切れ!潔く降参します。フロアーの大きさとパネル点数でどう収めるかは、本づくりにも共通する部分ですが、物理的制約にうまく合わせることが重要で、パネルごとに偏りがない情報量と、コラムを挟んだメリハリが重要だと思います。今回はカブトムシ、クワガタムシをメインにしつつ、ナナフシとヤママユガを脇役としながら、こんな虫も飼ってみたら面白いという提案で、マイマイカブリ、カミキリムシ、オオヒラタシデムシ、アカスジキンカメで構成しました。

第21階企画展「たのしい昆虫飼育Part2」雑木林の虫編  会場入口から
第21階企画展「たのしい昆虫飼育Part2」雑木林の虫編  アカスジキンカメ(左)シロスジカミキリ(右)生体展示
第21階企画展「たのしい昆虫飼育Part2」雑木林の虫編  マイマイカブリ(左)オオヒラタシデムシ(右)生体展示

展示にかかった経費は、委託事業でパネルデザインおよび図録製作で1本、出力及び現場貼り付けで1本、総額60万円ほどです。過去に製作したダンボールパネルベースの流用や、既存の什器を使用した上での経費ですが、施設規模から考えると笑ってしまうような低予算での企画展です。しかも、私なりのもう一つのこだわりは、残業せずに仕上げるという点です。こうした努力も行政マンの一人として評価はありません。評価者は仕事の本質がわかりませんから、できて当たり前と思うでしょう。かつて、矢島先生は一本の企画展を仕上げるたびに褒めていただきましたから、きっと、今回も空の上から褒めていただいていると思います。自分としての満足感は高く、金がなければないなりにやり続けてきたスキルの蓄積は、なにものにも代えられない私の財産だと思っています。愚痴っぽくもなりましたが、2005年の開園以降、がらんどうの巨大な建物の中で、「何か展示をやらねば」というプレッシャーに翻弄されながらも、よくここまで耐えしのいだということに尽きます。館内の常設展示など、変更すべきプランは山のようにありますが、何かやり残した感があって名残惜しいという気持ちはなく、これまで全力でやってきた分、体力の衰えを感じるこの頃、よい引き際だと思っています。本来、行政の末端の仕事は、属人性に偏らず、スムーズな引継ぎの中で継続される形が理想です。昆虫施設でありながら出先機関の枠組みの一部として扱われ続けてきたことが適正なのか、施設の特性上、疑問を持ち続けて今に至ります。全国的には昆虫施設は指定管理者が運営する実情があります。それはそれで様々な問題も抱えています。特殊な施設であるがゆえに政治に翻弄され続けた19年。群馬県として、今後の「ぐんま昆虫の森」を、なにとぞ大事にしていただきたいと切に願います。まるで引退会見?(笑)あと、半年あります!

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