コガムシの幼虫
1月も気が付けば後半に差し掛かり、本当に月日の経過が早く感じるこの頃です。年度末は何かと事務処理が忙しくなる行政の仕事ですが、虫にも集中しながら過ごしています。暖かい部屋で飼育していたコガムシが産卵したのをきっかけに幼虫を育てています。コガムシの幼虫は、代表種のガムシ幼虫と比べて、大きさこそかないませんが頭部はアリジゴクを彷彿とさせる勇ましい外観です。食性もガムシは貝類に依存する偏食ですが、コガムシは小動物をなんでも襲って食べ、当然共食いも激しいです。冷凍アカムシが餌としてはお勧めで、成長が早く孵化からわずか2週間で終齢幼虫も老熟間近です。バットに土を入れて水たまりをイメージしたセットを作り撮影しました。幼虫の体型はゲンゴロウ類と似ていますが、分類的には亜目で異なるほど縁遠い関係性です。水中生活と肉食性という共通点が収斂化したのかもしれません。
腹部側縁に外鰓が目立ちますが、たまに腹部末端を水面に出して、直接空気を取り入れるしぐさをします。開口した尾端部の形状は複雑で、もっとアップで撮ればよかったと後悔しました。
何といっても、頭部の形状が魅力的で、発達した大あごには内歯があります。そして、触角や小顎髭、下唇などの附属肢も発達していて、メカニカルでありながら怪獣的な表情はプレデターエイリアンです。
そして、この口器で獲物を食べる仕草こそが、コガムシ幼虫の特徴かもしれません。捕らえた獲物を水上に突き出して、「クッチャ、クッチャ」と咀嚼するのです。食べ方まで素晴らしくえぐい!この仕草の意味は私なりの想像ですが、咀嚼することで獲物の体液が水中に溶け出すことを避け、効率よい栄養摂取かと思うのですがいかがでしょうか。ただし、水中で食べることもあります。