クロスジギンヤンマ ヤゴ 捕食シーン

2月も中旬で、少し春めいてきたこの頃です。昨年末から水生昆虫の撮り直しをコツコツと続けていますが、コガムシ~コオイムシ~アメンボ~マツモムシという流れである程度完了しつつ、ヤゴへと着手をはじめました。課題は多く、今更ながらシオカラトンボのストックが薄すぎて反省しつつ、これは春以降の宿題として、冬に手に入る大きなヤゴであるクロスジギンヤンマを採集し捕食シーンの撮影をしました。この下唇を繰り出すという瞬間は、タイミングが難しくしかも高速ですから、かつて(10年前)はストロボ連写で捉える手法が妥当でした。カメラの連写機能の発達と感度性能のアップで、チャージされた電源内でなるべくストロボ光量を抑えながら連写に同調させての撮影です。苦労しながら撮影したことを思い出します。それでも、ポジ時代に比べればだいぶロスが少ない撮影です。

クロスジギンヤンマ ヤゴの捕食 
NIKON D4 105mmM F11 SS1/250 ISO2500 ストロボ(2012撮影)

今や時代はプロキャプチャーで、この手の撮影にはもっとも威力を発揮します。数年前、オニヤンマの絵本製作において、ヤゴの捕食シーンに使えると直感的に感じたのが導入のきっかけにもなりました。ただし、室内セット撮りの定常光というライティング条件で、高速シャッタースピードである程度絞り込んだ露出バランスは簡単ではありませんでした。感度と画質のバランス感覚は人それぞれだと思いますが、少なくともヤゴの下唇の繰り出しスピードを止めるために、1/1000以上のシャッタースピードはキープした上で絞り値をかせぎたいところです。数年前ですが、この時はHIDランプを使用したサーチライトを光源として利用していましたが、もっと光量が欲しいと思いながらギリギリの設定で撮影しました。そして最近、LEDビデオライトの照度が高い製品が安価で出回るようになり、さらにこの手の撮影に可能性をもたらせてくれます。

クロスジギンヤンマ ヤゴの捕食① 
OLINPUS OM D-E M1X 60mm F10 SS1/4000 ISO5000 プロキャプチャーモード
クロスジギンヤンマ ヤゴの捕食② 
OLINPUS OM D EーM1X 60mm F10 SS1/4000 ISO5000 プロキャプチャーモード
クロスジギンヤンマ ヤゴの捕食③ 
OLINPUS OM-D EーM1X 60mm F10 SS1/4000 ISO5000 プロキャプチャーモード
クロスジギンヤンマ ヤゴの捕食④ 
OLINPUS OMーD EーM1X 60mm F10 SS1/4000 ISO5000 プロキャプチャーモード

この撮影をしていて、ひとつおもしろいことに気付きました。ヤゴの下唇の繰り出しは、体内の何らかの圧力を下唇に送り込んで伸ばすと考えられます。ヤゴは腸内呼吸(直腸鰓)で、肛門から吸い込んだ水から酸素を取り込みつつ、その水を勢いよく水流として噴射し泳ぐこともできます。これは直腸を筋肉で収縮させて圧力ポンプに利用しているからです。今回の連続写真で、下唇を繰り出す瞬間は肛門を閉じていることがわかりました。これは、肛門を閉じることで直腸内の水圧を下唇の繰り出しにも利用しているのではないかという私なりの推測です。それにしても、水の世界に身を置くトンボの幼虫「ヤゴ」って本当におもしろく魅力的な存在です。

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