ツインストロボシステム SONY HVL-MT24AM

すでに販売終了製品ですが、長らく愛用しています。かれこれ二十数年前、MINOLTA/ミノルタ マクロ・ツインフラッシュ MACRO TWIN FLASH 2400として開発され、その後、2006年以降は、カメラ事業を引き継いだSONYからHVL-MT24AMとして、仕様変更なしで販売されていましたが、2021年末に販売終了となりました。最近では中古市場でかなり高騰しています。

それまでの各社から発売されていたツインストロボは、レンズ先端に発光部マウントを取り付けて、レンズの中心軸に近い対称方向から2灯を発光することでの無影撮影を目的としていましたから、発光部のフレキシビリティーは、レンズの軸を中心に横方向のスライドしかありませんでした。

1990年代、昆虫写真を含む自然写真全盛時代と私なりには思っています。ストロボを駆使したマクロ撮影において、単調なフロントからの光線から、逆光を取り入れた立体感の表現、そして、光線の柔らかさといった、いわゆる「物撮り」の写真表現技術の潮流が、マクロを主体とした自然写真界にも波及していったと思っています。

そんな時代の変化を汲んでの開発だったと察しますが、MINOLTA/ミノルタ マクロ・ツインフラッシュ MACRO TWIN FLASH 2400は、それまでのツインストロボにはない、発光部のフレキシビリティーと専用ディフューザーの付属、そして、2灯の発光部それぞれの調光ができ、しかもダイヤル式は画期的でした。

https://www.sony.jp/ichigan/products/HVL-MT24AM/?srsltid=AfmBOoqgoPlcqeIBIq6EGbGIa0WVC5P0MlrbdHIWl6ifkA7UxCZ3LlUl

ミノルタから引き継がれた独特な形状のストロボシューは、アダプター(FS-1200)を介して一般ストロボシュー規格に使用でき、NIKON機メインだった私は、当時は、D2Xとの組み合わせで使用していました。これも、使用してみていろいろあるもので、使いやすいように手を加えながら、現在はZ9まで引き継いで使用しています。

NIKON Z9 MC105mmMACRO  SONY HVL-MT24AM ASSY
NIKON Z9 MC105mmMACRO  SONY HVL-MT24AM ASSY

近年のストロボの取り付け脚部分は、金属化してだいぶタフになりました。

当時はプラスチックが主流で、しかもアダプターを介した分、背が高くなり、横方向の衝撃にはめっぽう弱い構造です。フィールドで転んで、アダプターの破損はたびたび起きました。また、レリーズに反応したりしなかったりの動作不良個体もありました。フィールド散策用機材をオリンパスに移行した現在は、使用するシーンを選びながら、ストロボ本体を含め、残りのストックを大事に使っていかなくてはなりません。

付属のディフューザーは簡易的な構造の組み立て式で耐久性はなく、負荷がかかるとポロリと脱落します。使い始めた当初は、組み立てた形状でポリプロピレン製の透明テープで補強しながら使用していましたが、その後、同寸法で型紙を作り、0.3mmの白色プラバンを素材とし、カッティングシートで側面を補強しつつ、脱落防止治具も含め自作します。長期使用の間には、それなりに破損し、補修を重ねて使用しています。商品化された小型ディフューザーは今や多様ですが、この発光部にマッチするものがありません。

発光部の取り付け部は、互換性のない特殊な構造で、台座を4か所配置した、レンズ径のアダプターを介した着脱式ホルダーです。それに、純正の伸縮構造のアームが付属します。Z9では、105mmマクロのフード先端にホルダーをビス止めで固定しています。この取り付け部と純正アームを使用して感じたことは、発光部の位置を変えたいときの動作が多すぎる割に、可動領域がそれほど大きくない点です。これは、撮影者それぞれの意図との相性であり、あくまでも私が使用しての感想です。

昆虫の撮影では、100mm前後(35mm換算)の中望遠レンズが一般的に理想とする中で、ワーキングディスタンスは100~300mmほどの領域が中心です。光線条件はシーンによって様々ですが、すばやくトップライトか逆光気味の光線を意図的に入れたいと感じた時、発光部を大きく繰り出せるようなアームがあればと常に感じていました。小型ストロボを携帯してセッティングの上、同調させるという手法も一般的ですが、ツインストロボのいずれか1灯が活用できれば即対応ができ一番理想的です。

NIKON Z9 MC105mmMACRO  SONY HVL-MT24AM ASSY

この可動部を補うアームとして素材を検討し、いくつか試す中で、もっとも理想的な素材としていきついたのがLOC LINEの1/4でした。軽量でありつつ、耐久性も持ち合わせています。2010年頃までは、水中撮影機材を扱うFisheyeで細かいパーツが購入できましたが、現在は扱っていません。工業用ノズルとして流通はありますが、パーツの扱いが限られます。

蛇腹構造に近い、細かい連結のコマを可動部パーツに利用し、ロングホースを2本組み合わせることでの「く」の字構造が、繰り出し量と収納のバランスがもっともよいと感じます。このLOC LINE製品その他を含めて、1/2サイズはカメラ機材では普及しつつあり、最近では「グースネック」という表現で扱われているようです。やや重量があるものを支えるアームとしては1/2規格が適しますが、軽量物に対応した1/4規格をもっと市場に投入してほしいものです。

そして、比較的使用頻度が高い広角レンズを使用したときにも、この発光部を活用できれば、より理想的です。これは単純に、コントローラーに取り付け部台座があれば可能となります。発光部取り付け台座が付いたパーツを解体し、台座のみをコントローラーに張り付けています。アームが長い分それなりの重心負荷がかかるので、接着しつつ、外装の厚みギリギリに食い込む長さのビスで補強しています。

NIKON Z9 ED14mm  SONY HVL-MT24AM ASSY

このシステムは、虫の目レンズ使用時も、専用取り付け部を自作して使用していますが、マクロ撮影全般でのライティングの自由度を保ちつつ、各種レンズに対応できる点で、もっとも使いやすいと感じています。

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