第20回企画展「たのしい昆虫飼育ーPart1ー」身近な虫編

7月8日(土)から開催となった第20回企画展「たのしい昆虫飼育ーPart1ー」身近な虫編は、私なりの集大成と考えて企画しました。趣味で昆虫を飼育される方は多くいらっしゃると思います。一般的にはカブトムシやクワガタムシが中心ですが、チョウを育てるという方もいるでしょう。昆虫施設の仕事においても担当があり、それほど多くの種を扱うことはありませんが、私のように30年以上もこの仕事をしていると、すでに一通りの昆虫の飼育経験があります。また、昆虫の一生を撮影するという自分なりのテーマにおいても、それを成し遂げるうえで飼育は欠かせない作業です。この仕事と出会い、昆虫飼育はまさに私の日常であり、私の人生(ちょっと大げさ)だと思います。そんな私も還暦を目前に控え、企画展でまとめてみたいという思いで発案しました。タイトルは豊島園昆虫館の先輩、及川ひろみさんの著書「たのしい昆虫飼育」(1977)からいただきました。私が豊島園昆虫館で働き始めたとき、様々な昆虫の飼育方法は先輩からの伝授と自分のアレンジでしたが、はじめて挑戦する種の基礎資料はこの本が唯一であり、多様な昆虫の飼育法が事細かに書かれた名著です。そしてなにより、私自身、昆虫を飼育することは楽しいと感じることからタイトルは「これしかない!」と思いました。飼育の方法や飼育道具、資材など、それなりに時代の中で変化するもので、今どきの時代にあった情報を加えながら執筆しました。パネルの細かい情報に目を向けるお客様はほとんどいませんが、生きた虫が入った飼育セットの展示も含めて、昆虫を飼ってみたい、観察してみたいという契機になればと考えています。執筆をしていて、ずいぶん昔と変わったなと感じたのはアリの飼育が流行り、石膏の人工巣や初期コロニーも販売されているということです。また、チョウの飼育マニアや昆虫館などの業種に向けて販売されていたネットケージですが、使いやすい優れものでありながら高価なグッズで、なかなか一般には普及しなかったものです。しかし、今では大きさも様々で価格も安価でよい製品が多数出回り、やっと手ごろな飼育グッズとなりました。今回Part1では身近な虫編として公園や草地で見られる昆虫たちを取り上げましたが、来年度Part2では、雑木林と水辺の虫編として開催する予定です。

「たのしい昆虫飼育Part1」会場の様子

「たのしい昆虫飼育Part1」アリの飼育展示の様子