ぐんま昆虫の森 散策

曇りのち雨という予報のどんよりとした空模様です。

昼間なのに林縁は本当に暗く感じます。水路に面したうっそうとした笹薮は、普段なら素通りしそうな環境ですが、チラチラと飛ぶキタキチョウが目に入ります。

こんな暗い場所で・・・と思いながらよく見ると、羽化直後のメスに交尾を迫るオスでした。

キタキチョウ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO3200 SS1/800  F6.3

そこから、派生的に様々なものが見つかります。

キタキチョウ蛹 OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO3200 SS1/250  F7.1

葉も残っていない、みすぼらしいネムノキの幼木に、羽化を控えたキタキチョウの蛹がいくつか付いていました。

そして、そのすぐ脇では・・・・おそらくそこから羽化して飛び立ったであろう成虫が、ジョウロウグモに捕らえられていました。

キタキチョウを捕食するジョロウグモ OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO3200 SS1/250  F6.3

薄暗い藪の一角に、意外なドラマがありました。

撮影場所  TG-7

その後、歩き出した先の林縁では、ネムノキの実生で育つキタキチョウの幼虫の姿がありました。

キタキチョウ幼虫 OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO3200 SS1/125  F5.6

雑木林を抜けてバッタの原っぱを目指します。

クチナシをのぞき込むとオオスカシバの幼虫がすぐに見つかります。

オオスカシバ幼虫 OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO2000 SS1/500  F8

齢期も様々、体色変異もあり、いずれも緑色が基調で黒い線の入り方にバリエーションがあります。

ところが、4齢期で体全体が濃い褐色の個体が見つかります。

オオスカシバ4齢幼虫褐色型 OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO3200 SS1/320  F9

私は初めて見る体色です。オオスカシバの幼虫は、老熟すると褐色に変化しますが、これは4齢期ですから、明らかに体色の変異の一つです。

調べてみると、稀な体色で、個体密度が高いと現れる傾向があるようです。確かに幼虫の発生はピークで、個体数も多い中でこんな現象が見られたのかもしれません。

ほどよい散策時間を過ごして、ゲートに向かって歩きますが、たまには違うコースでと思い、小川に沿った林内の細園路を進みます。

よほど通る人が少ないせいか、ジョロウグモの網が先々で顔にくっつき、「コースを誤った!」と後悔します。

そんな時、足元からヒラヒラとクロコノマチョウが飛び立ちました。すぐに、林床に止まりますが、そんな様子の写真は過去にはたくさん撮っていたので、広角レンズでどこまで寄れるか試してみました。

クロコノマチョウ OLIMPUS OM-1 7-14mm ISO5000 SS1/60 F6.3

かなり敏感な個体でしたが、20㎝ほどまで間合いを詰めることができました。その周囲では3個体ほど見かけました。

さて、もう帰るだけだと思って歩き出すと、道脇にあるヤマハギで、この時期らしいものが見つかります。

枯れた植物片の塊が枝先にあれば、クロモンアオシャクの幼虫です。2個体見つかりますが、背中を丸めてじっとしていて、まったく幼虫としての外観がわからないほど植物片をまとっていました。すると3個体目が見つかり、ちょうど植物片を背中にくっつけている最中でしたから、幼虫の姿がわかる描写ができました。

おそらくクロモンアオシャクの幼虫 OLIMPUS OM-1 90mmMACRO ISO5000 SS1/200  F8

近似種でヨツモンマエジロアオシャクがいますが、あらためて幼虫形態だけでの断定は難しいことがわかります。どちらもマメ科を奇主植物としますが、イモムシハンドブック3によれば、ヨツモンマエジロアオシャクでは、頭部が濃い褐色で筋が入るという点からクロモンアオシャクとしておきます。