ぐんま昆虫の森 散策
先週はイベント準備で、ぐんま昆虫の森を歩く機会がありませんでした。
茨城県からイベントに参加してくださったお客様が、翌日にぐんま昆虫の森に向かわれるというお話を聞いて「それでは一緒に歩きましょう!」ということになりました。
小学5年生のリュウト君は、昆虫全般に興味があり、どんな虫も熱心に観察しながら写真を撮り、種名を調べて自分の昆虫図鑑を作っていました。このコツコツと積み上げる作業は、きっとリュウト君の将来に役に立つと思います。
オニヤンマを見事に網でキャッチし、「初めて飛んでいるオニヤンマを捕った!」と嬉しそうな表情が印象的でした。飼育も大好きということで、昆虫館で働くことを夢見る昆虫少年の未来に期待します。
私も秋のフィールドを楽しみながら、ネムノキに張り付いたカキバトモエの幼虫を見つけます。

キノコの下で、揺れ動くひも状の物体が目に入ります。

風になびく動きと違うと思ったら、キノコヒモミノガの幼虫が動き回っていました。
シラカシの幹で「もしかして・・・」と思いながら凝視して確認したのがイシノミでした。何か違和感を感じたのは大きさと模様です。ぐんま昆虫の森内ではヤマトイシノミが生息しますが稀です。やや標高を上げると普通に見られます。とりあえず写真を撮って改めて検証すると、その正体はヒトツモンイシノミでした。

ヒトツモンイシノミは、本州中部以西が分布域で、北限はやや曖昧ですが群馬県内では、私は初めて確認しました。神奈川県や千葉県などはヒトツモンイシノミが普通です。昆虫各種で分布域の北上傾向が見受けられますが、この翅のない森林性のイシノミが、どのように分布を広げる術があるかが不思議です。
本館入口付近で、偶然にお会いしたお客様と立ち話の最中でした。苔むした石の上を前進歩行するアリジゴクが目に入ります。「ちょっとすみません!」と話し中にわがままを言わせていただき撮影しました。

いわゆる非営巣性のアリジゴクは前進歩行ができます。もちろん後進もできます。ツノトンボ類の幼虫かとも一瞬思いましたが、腹部の縁の様子が異なります。確信は持てませんが、おそらくカスリウスバカゲロウの幼虫ではないかと考えています。
気温も湿度も高く、気候的に秋らしさは感じられませんが、来週あたりからは涼しくなるという予報が出ています。
秋のフィールドを楽しもうと思います。


