高崎市 吉井町 散策 その1
かれこれ二十数年前、群馬県立自然史博物館主催の自然観察会で講師として参加し、自然環境の豊かさと虫の濃さに驚いたのが吉井町です。何度となく訪れましたが、この時期に行くのはかなり久しぶりです。湿潤な丘陵地で、ため池が点々とあり、水田と草地と雑木林がほどよく入り混じる環境です。

草原の虫
現地に着くと、まさにキリギリスの最盛期で草むらから声が響きます。草むらに踏み込むと、次々とバッタ類が飛び出し、虫の密度の濃さを感じます。キリギリスも飛び出しますが、やはり鳴いているシーンを見たいものです。
ススキの株間でギリギリ抜けた場所で鳴くキリギリスが見つかりカメラを向けます。

欲を言えば緑色型が美しいのですが、圧倒的に褐色型の比率が高く贅沢は言えません。見つかっただけでも運がよく、基本的には茂みの中で鳴く虫です。

オオカマキリやエンマコオロギは終齢幼虫となり、秋の虫たちも登場も間近のようです。

ワスレナグモのまどい
草刈りされた場所を歩くと、足元の草間に張られたクモの糸に気付きます。ワスレナグモのまどいの痕跡とわかりますが、すでに子グモの姿はありません。しかし、そこから振り返った場所は、まさにまどいの真っ最中でした。


この瞬間に立ち会えたのは初めてで、興奮気味に慌ててカメラを向けます。突き出した葉先を利用して、糸で作られた空中回廊が数メートルも続いていきます。
それは、子グモたちにとって、まさに命がけの真夏の大冒険です。

ヤハズハエトリにとっては獲物でしかなく、満腹になるまでたびたび捕食を繰り返していました。


空中回廊は草刈りがされていない高さ1.5mほどの場所へと続いていました。なるべく高い場所へと移動してからバルーニングを行って分散していくのでしょう。
予期せず、こういった瞬間に立ち会うことができるのも散策の醍醐味かと思います。