田貫湖 散策
翌日は富士山の西側に位置する田貫湖に向かいます。
人造湖に面したキャンプ場があり、土曜日とあってにぎやかな雰囲気です。標高は660mで、周囲の山はスギの植林と広葉樹林が入り混じった環境ですが、遊歩道に面した低木が多く、幼虫探しには良い場所です。

歩き始めて早々に、カエデの植栽をのぞき込むとヒロズイラガ幼虫が見つかります。
以前は、割と珍しがられましたが、横田さんによると、最近になって発見例は多いとのことです。

スイカズラを食べるオビヒトリの大きな幼虫が見つかります。

イラガ類では、アカイラガとクロシタアオイラガの幼虫が各種樹木で多く見られました。

クマザサの表面に派手な毛虫が!ウスベリケンモンの幼虫です。
おそらく夜行性で、昼間に見つかることは稀で、私もこのサイズの幼虫を野外で見たのは初めてです。このまま越冬に入るようです。

その先のクリの木が当たりでした。横田さんがナカキシャチホコを見つけ出し代わる代わる撮影していると・・・

横田さんが「あっ!ツマジロがいた!」と叫びます。

高い場所だったので、枝を切り落として固定し、撮影会です。

ミズキの低木を眺めていた時、何やら見慣れないものが・・・

一瞬、見たことがない蛾類幼虫か?と驚きましたが、冷静に見るとハバチ類幼虫と気づきます。しかし、ハバチ類幼虫であっても、かつて見たことがありません。
これだけ派手で、しかも集団形成の大型種です。すぐに種名はわかるだろうと思いましたが、意外と難関でした。情報量は極めて少ないと思います。
https://www.kahaku.go.jp/research/publication/zoology/download/50_2/L_BNMNS_50-2_69.pdf
蝋状物質をまとわない単独の個体もいました。

横田さんが、アズマネザサに付くサトキマダラヒカゲの幼虫を発見します。2個体がおり、これも本来夜行性で、昼間に見つかることは稀です。

大きなカエデの枝先でクロエグリシャチホコの幼虫を見つかります。

歩き始めて3時間以上経過していますが、収穫がありすぎて、なかなか湖を一周することができません。
歩道に面した植栽は延々と続きますが、やや速足ながらも見ていくと・・・
またしても横田さんがハイイロシャチホコの幼虫を見つけ出します。

のちに調べてみると田貫湖の外周路は3.3kmほどのようですが、5時間かけて一周しました。
能島さんはその過程で、欠かさずにメモを取り、スマホに画像を収めるというまじめさです。
学園祭に幼虫を展示するらしく、ケースが足りなくなるほどの収穫に喜んでいました。
イモムシ・ケムシを美しく展示したいという意欲があり、その気質は昆虫館職員向きだなあと思いつつ、若者の未来に期待します。
中島先生、横田さん、能島さん、大変お世話になりました。