富士山 散策
蛾の師匠 横田光邦さんのお誘いで、富士山方面に散策に出かけました。
ここには、蛾の大家 中島秀雄先生もご参加されて、初めてお会いすることができました。そして、三重大学院生の能島さんも加わり、蛾類生態研究をけん引する、ほぼ3世代の方々とご一緒させていただきました。
富士山の南側、標高は約1300mですが、今年は紅葉が遅いようです。快晴に恵まれて、朝からくっきりとした富士山を望みます。

出発早々に、駐車場のヨモギでハイイロセダカモクメ幼虫が見つかります。秋の定番ですが、何度見てもよくできたカムフラージュに感動します。

西臼塚を目指して、遊歩道を歩き始めます。

ほとんどの樹の幹も、林床も苔むした湿潤な森林です。私はキノコで見つけたハネカクシにはまりました。

キノコからひょっこりと頭をのぞかせた10mmほどのハネカクシですが、頭部が大きく大顎が発達しています。調べてみるとオオキバハネカクシの一種でした。

頭部が発達しているのは雄の特徴ですから、性的二型がある興味深いハネカクシです。キノコに掘ったトンネルから、顔をのぞかせていました。

そんな撮影に夢中になっていると、横田さんがその横でシズオカオサムシを発見します。

足元の葉に張り付く、なんとも個性的ないでたちのアブが目に留まります。調べてみると、ヒゲボソムシヒキ(ムシヒキアブ科)の一種のようです。
そういえば、過去にも晩秋の丹沢山系で似たアブを見たことを思い出しました。この季節ならではのようです。

帰り道の林床で、ヒメツチハンミョウが狭い範囲で数匹見られました。これも、この季節ならではの甲虫です。

蛾類幼虫の成果はいまひとつでしたが、私なりにはかなり楽しめました。
その後、五合目めで標高を上げて、宝永山に向かうルートを散策します。標高は2300mで、このあたりからダケカンバが多くなります。富士山はスカシカレハの多産地ですが、大型種の割に、幼虫生態が未解明です。最近になって、越冬前の幼虫が幹に集団で群れるという目撃例があります。奇主植物はいくつかが推測され、観察例ではヤナギ類、ホオノキ、そしてカンバ類です。私はダケカンバである程度育つことを確認していますから、ダケカンバはかなり有力と考えています。時期的には越冬前の幼虫が幹に群れているであろう季節です。
途中で、雲海を見る絶景もありましたが、登山の趣味がない私にとっては、結構きつい道のりでした。

ダケカンバが多い斜面があり、見渡しますが、イメージする毛虫の集団は、見つけることはできませんでした。

天気に恵まれ、しっかり富士登山までこなしました。
夜はライトトラップです。