ベニシジミの羽化

冬の間、ベニシジミの幼虫をそれなりに探していましたがまったく見つからず、ギシギシ、スイバといった探す的も絞れる種なのに見つからないものだと感じていました。気温が上がった2月15日、散策中にギシギシの株間を探すと終齢幼虫がポロリと葉裏から落ちました。「いた!」虫さがしは1匹でも見つかると、とたんに集中力が増すもので、同じ株から追加で2匹、隣の株からも1匹見つかり計4匹が捕れました。目的は幼虫飼育セットの撮影でしたので、難なくクリアできたのですが、あっという間に蛹となり、そして羽化が始まり残りの蛹も一つとなったところで、もう少し欲を出して羽化の撮影にチャレンジしました。

ベニシジミ羽化直前の蛹

大型のチョウに比べると、シジミチョウは体節や色の変化など羽化の前兆がわかりづらく、さらに過去の経験値もない状態で、体色変化を見ながらそろそろと思いセットしましたが、2時間待って「まだ早い」とあきらめました。10℃ほどの場所に蛹を保管し翌日に見ると、明らかに前日よりも色が淡くなっていて、空気層が入った状態だとわかりました。いよいよと思って撮影準備をしてファインダーをのぞき込み羽化待ちをしました。

この羽化を待つ時間というのは、なんとも例え難い、費やす時間の意味があったか否かは成果にかかるという時間です。昔は「無駄に終わった」と落胆したことも多々ありましたが、最近は「まあ、いいか」と流せるようになったとも思います。羽化が始まるまで微動だにしない蛹を見つめていると「本当にこの蛹は羽化するのだろうか?」と疑念すら湧いてきます。

ベニシジミの羽化1

「ぴきっ」亀裂が入ると、あっという間に成虫の姿が現れました。待ち時間30分ですから、比較的効率の良い撮影でした。

ベニシジミの羽化2
ベニシジミの羽化3

想定外だったのは羽化後の動きで、羽化殻の上に落ち着かず、枯葉の先端まで登っては折り返して下にさがり、翅を伸ばす場所が決まらずに結構歩きまわってしまいました。そのうちに翅が伸び始め、ようやく羽化殻の上に落ち着いてくれたという感じです。

ベニシジミの羽化4
BLOG

次の記事

マダラクワガタの標本写真