ナミテントウの羽化

ナミテントウの生活史を20年ぶりに撮り直しています。よりによって今年は、ナミテントウの発生が例年より少なく、当たり前の虫も当たり前にいかない困難からはじめています。いつもであれば、園内のヤナギを見れば一通りのステージがそろうくらいの発生量があるのですが、少ない成虫をかき集めての飼育から始めています。採卵して幼虫たちが育つ過程を撮り終えて、蛹化も撮れてと順調ではありましたが、羽化の前兆がわかりにくく難関と考えていました。甲虫類全般に、羽化前は色彩の変化など何らかの兆候が視覚的にわかるものですが、蛹の外皮が厚いテントウムシ類は外観的にわかりにくいのです。まとまって蛹化した一群の羽化がはじまり、そろそろと感じる3個体を選抜して別容器に移して変化を観察しながら羽化のチャンスをうかがっていました。日が伸びて夜明けも早くなり、私の活動ペースも早朝からバタバタしているこの頃の生態!?ですが、早々と職場に行って一通りの虫チェックから始まります。山を張っていたナミテントウの蛹をのぞきこむと、一個体の腹部体節がやや伸びていることに気付きました。「これは!」と羽化前兆を予感しつつカメラをセットします。ファインダーをのぞき込んでいると「ピクピク」と動きがあり期待が高まります。その後順調に羽化に至りました!まさに幸運のシャッターチャンスでした。

ナミテントウの羽化

30年間、撮りたい瞬間を、待っても待っても結果に至らないこともさんざんやってきながら、意外とスムーズに撮れることもあったりです。今日においては早起きは三文の徳のようでした。虫を見つめ続けての経験値もありますが、温度下の経過日数をデータ集積すればもっと効率的に撮れると思いつつ、そういうことが苦手で、感覚にたよった自分的スタイルでコツコツというのが私には合っているようです。

羽化後に後ろばねを伸ばすナミテントウ