むしむしトーク「アリ」
5月13日(土)私の担当では今年度2回目のむしむしトークを開催しました。テーマは「アリ」です。昨年は開催日にクロオオアリが結婚飛行を行うというすごいタイミングとなりました。今年度はプレゼン資料をバージョンアップさせて臨みましたが、お客様の顔ぶれも初めて来られた方が多い中、アリを飼いたい!という熱心な小学生が来てくれました。およそ30分のお話をして閉会し、その後、個々のご質問にお答えするのがいつもの流れですが、閉会直後に客席から質問が飛び出し、その後、怒涛の質問ラッシュとなり、終わるに終われないという、かつてない流れとなりました。茨城県から来てくれた男の子は、「女王アリを探して飼育を始めたいけど、女王アリはどうやったら探せるか」とか、前橋市から来られた女の子は、質問をノートにまとめて、回答のメモを取るほどの熱心さに感心しました。回答が難しいと感じた質問として「女王アリは巣の中の一番深いところにいるというのは本当か?」一般論としてクロオオアリなどの土中に巣を作るアリ類の私なりの飼育の経験では、「女王アリの決まった場所はない」と回答しました。あくまでも飼育下での観察ですが、女王アリの居場所としてもっとも最適な場所を働きアリが促し、状況で移動するというのが正解だと思います。ただ、深い位置というのは傾向としてあります。移動は頻繁ではありませんが、よく、子供向けの本では、「女王アリの部屋」とか○○の部屋という表記がありますが、固定的な部屋の使い方だと子供たちは思ってしまうのだと思います。また、地下部は地表近くと深い場所では、季節によっては大きな温度差が生じますから、それによっても移動があるのではないかと私は考えています。いずれにしても、野外における巣の形状だったり深さだったり、普通種のクロオオアリでさえ、よく調べられていないのが現状です。近年、研究分野でのアリは盛り上がりを感じますが、こうした熱心な小学生たちが、のちの研究者となって、さらに、アリの世界の驚くような事実が解明されていくことを願っています。最後にアリの飼い方サンプルとして、ちょうど一年前に採集したクロオオアリの女王が、40匹ほどの家族となった飼育セットを見ていただきました。今年は結婚飛行がばらついているので、今度気温が上がった日が女王アリ探しに最適と話すと、前橋から来られた女の子は、意欲満々で会場を後にしました。